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「水を吸水できる量」≠「尿を吸水できる量」(動画で実験)

  • info3175414
  • 6 時間前
  • 読了時間: 5分

凝固剤の説明でよく見かける「○gで○mLの水を固められます」という表現。


これはあくまで“水”を固められる量であって、

“おしっこ(尿)”を固められる量ではありません。


 

パッケージの表記にご注意!

『〇グラムで〇mLの「水」を固める』——この表記、気を付けてください


仕事柄、自分たちはこの記載を見ると

『ああ、じゃあトイレで使うならこれくらい必要か…』

と自然と考えてしまうのですが、


商品のレビューなどを拝見していて

【〇mLも固められるので余裕!】のような、お客様の声をみかけることが時々あります。


あ、この勘違いはよくないな…! と思いました。


 

「水」と「尿」は違う液体です

「水」と「尿」は、どちらも主に水分でできていますが、その成分構成はまったく異なります。


■飲料水

微量のミネラル(カルシウム、マグネシウム、ナトリウムなど)が含まれていることもありますが、

基本的には純粋な「水」(H₂O) と、「ごくわずかな」混ざりものです。


■おしっこ(尿)

約95~97%は水ですが、残りの3~5%程度に様々な成分が混ざっています。

脱水状態で濃縮された尿では、最大で6~8%にもなることがあります。


尿に含まれる主な成分は

  • 尿素(体内のたんぱく質が分解されてできる老廃物)

  • クレアチニン(筋肉代謝でできる物質)

  • アンモニア

  • ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩素、リン酸などの電解質(塩分やミネラルなど)

  • ホルモン

  • 代謝産物

  • ビタミン、薬を飲んでいる場合に尿に出てくる成分など


体内に取り込まれた水分が血液や細胞に使われて、余分なものを排出するのが「おしっこ」です。


■ちなみに、海水はH₂O(水)が約96.5%、塩類などの溶解成分が約3.5%だそうです。

人間の尿は、海水と同等かそれ以上に「濃い液体」(=溶けている成分の割合が大きい)と言えます。


1日の塩分摂取量の目標量は、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満と言われますが、

1Lの水に35gの塩が入っている、と考えると「尿と水とは全然違う」というイメージも伝わりやすいのではないでしょうか。

35gの塩は、大さじで2杯弱の量です。


尿の ”濃さ” が伝わるでしょうか。

 

吸水ポリマーが吸水できる量も違います


水とおしっこは、違う液体です。

なので当然、ポリマーが吸水できる量も違います。


吸水ポリマーが最大限に吸水能力を発揮するのは「水」に対してです。

一般的な吸水ポリマーは、尿のように成分が多様な”濃い液体”では、吸水量は減少します


ポリマーの種類にも様々あるので一概には言えませんので

あくまで目安ですが


吸水ポリマーが固められる人間のおしっこの量は

水を基準にした吸水量の「約1/3~1/4 程度」と考えると無難です。


※ポリマーの吸水性能には差があるので、お手持ちの製品に尿の吸水量の記載がある場合はそちらを参考にしてください!


1リットルの水を固められるポリマー量なら

おしっこの場合、250程度、多くても400ミリリットル程度、だと思われます。

シルモかた丸(抗菌作用のない多用途凝固剤)の商品説明の例
シルモかた丸(抗菌作用のない多用途凝固剤)の商品説明の例

『〇グラムで○○mlの水を固める!』という記載を見て、

おしっこも同じくらい固められるんだ、と思ってしまうことがないようにご注意ください。

いざというときに容量オーバーで固まりきらないなんてことになったら大変です。


ポイレかた丸(簡易トイレ用の個包装凝固剤)の説明書きの例
ポイレかた丸(簡易トイレ用の個包装凝固剤)の説明書きの例
 

尿の代用テストなら…


簡易トイレで使うつもりで備蓄されている凝固剤に、

【 尿の吸水量目安 〇〇ml 】という記載がない場合


実際に使って試してみるのが一番ですが、

抵抗がある場合や、防災イベントなどで本物の尿を使うことができない場面などであれば

脱水症対策の経口補水液などを使って比較してみると分かりやすいかもしれません。


例えば OS-1のような経口補水液は、脱水時に「尿と同じくらいの電解質を補う」ことが目的の医療用に近い設計の飲み物なので、ただの水を使うよりずっと実際に近い使用感が確認できます


※「えっ、じゃあおしっこ飲んでるみたいなもの…?」と思わないでください。

 もちろんおしっこと経口補水液は違います(当たり前ですが)

 本物のおしっこで試せないような場合の実験などで代替として使うなら…という意味です。


安いものではないですが、実物が使えない場面でやむを得ず水を使うよりは、実際の尿に近い電解質バランスの液体を使った方が、 ”本物” に近い使用感になります。


水道水と経口補水液で、凝固剤の作用を動画撮影してみました。


ただの水とは固まり具合が全然違うことがわかりますよね。



備蓄用の凝固剤には「尿対応量」の確認を!


万が一の場面で、せっかくの備えをしっかり活かすためにも、非常に大事です!


「水とおしっこは、違う」


当たり前だけど、意外と見落としがちな事実です。


災害時の備えとして簡易トイレ用の凝固剤を準備する場合、

パッケージに「尿〇〇mL対応」と書かれているかを必ずチェックしましょう。


記載がない場合は、


  • できれば自分で使って試してみる

  • OS-1などの経口補水液でテストしてみる



成人の1回の尿量は 300ml 程度が目安と言われますが、

自分の尿量がいつもどれくらいなのか、普通は知らないですよね。


実際に使ってみると「凝固剤1包では足りない…!?」ということもあるかもしれません。


人によっても体調によっても、濃さや量、成分も異なります。


トイレに行くタイミングによって毎回違うものですから、

朝一番など『普段より量が多いな』と思うタイミングで試せると、ひとまず安心かと思います。

もし1回分の凝固剤で固まりきらない場合は、凝固剤だけでも余分に備えておく。


防災グッズは買って終わりではなく、少しずつ自分用にカスタマイズしていく見直しも大切なんです。

​インスタ yuki_darumaru 

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